自殺カタログ
☆☆☆

「アンミたち、どこに行ったのかな」


ホームルームが終ると、科学の教科書とノートを持った理央がそう聞いて来た。


あたしも教科書を準備して立ち上がる。


「たぶん、先に科学室に行ってると思うよ」


そう答えながら、2人で教室を出た。


「そうなの?」


「うん。だって……カタログの自殺方法に硫酸を選らんだから」


小さな声でそう伝えると、理央は驚いたように目を見開いた。


「そんな方法が載ってたんだ?」


「うん。タカログの中では一番苦しい死に方だって」


「へぇ。科学室、あそこにはいろんな薬品があるからねぇ」


理央がそう言い、どんな薬品があったか思い出そうとしている。


「今日の授業中はアンミには近づかないことだね」


あたしはそう言ったのだった。
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