自殺カタログ
想像通り、龍輝たちは先に科学室に来ていた。


一番奥の一番端のテーブルに龍輝、アンミ、百花の順番で座っている。


その正面には登と涼太の姿があった。


そこのテーブルは実験道具が並んでいる棚に一番席だ。


龍輝たちは先生の目が届かない場所だと思って選んだんだろうけれど、死ぬ事に関しても一番いい席になっている。


あたしと理央は一番奥の真逆のテーブルを選んだ。


ここからならアンミの姿が良く見えるし、薬品が散乱するような事態になっても距離があるから安全だ。


「今日の実験はなんだっけ?」


「忘れちゃった」


あたしは理央の言葉にそう返事をした。


この前の科学の授業中に先生が何か言っていたけれど、すっかり記憶から抜け落ちてしまっていた。


だって、あたしの毎日はハガキで人が死ぬような、科学では証明できないようなことが起こっているんだもん。


けれど一緒のテーブルになった子たちがすぐに授業の準備を始めてくれた。


あたしと同じテーブルと言う事で気を利かせてくれていることがわかる。


以前ならこんな事絶対にあり得なかったのに。
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