自殺カタログ
涼太は気が付いていなかったようで、怪訝そうな表情を涼太へ向けた。


その瞬間、涼太が視線の端であたしの姿を捕らえた。


勢いよく振り返り、目が飛び出てしまうほど大きく見開かれる。


声にならない声でパクパクと何かを言っている。


その様子が滑稽で笑い出してしまいそうになるのを必死で我慢した。


「アンミだ……!!」


登が悲鳴に近い声でそう言い、大慌てで階段を上り切った。


それに続いて涼太が這うようにして階段を上がって行く。


あたしはその場で2人を睨み上げた。


憎しみのこもった視線に2人が震えているのがわかる。
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