自殺カタログ
「この年齢になって幽霊を信じてるとか、それだけで笑えるけど」


晃紀はそう言って笑って見せた。


「晃紀は幽霊を信じてないの?」


「幽霊も宇宙人もテレパシーも異世界も、信じるわけないだろ?」


「そうなんだ」


「芽衣は信じてるのか?」


その質問にあたしは一瞬返事に困ってしまった。


登と涼太はアンミの亡霊に殺されるんだ。


考えたシナリオをスムーズに運ばせるためには、幽霊を信じていると答えた方がいい。


「信じてるよ」


少し間が空いてしまったが、そう返事をした。


晃紀は目を丸くしてあたしを見る。


「芽衣が幽霊を信じてるなんて意外だな」


「え、なんで?」


「だって芽衣は一番そういうの信じなさそうじゃん」


その言葉にあたしは首を傾げた。


2人で靴を履きかえて廊下を進んでいく。
< 260 / 311 >

この作品をシェア

pagetop