自殺カタログ
「なんだと?」


低く、唸るような龍輝の声。


聞くだけで鳥肌が立つような、恐ろしい声にも涼太は屈しなかった。


「お前がアンミを殺したんだ。あの時、松葉づえを奪うから――!!」


最後まで言う暇も与えられず、龍輝のパンチが顎に入った。


涼太はそのまま後方へと倒れる。


しかしかなり手加減しているのが見ていてもわかった。


涼太は顎を押さえながらすぐに立ち上がって龍輝を睨み付けた。


「お前、口のきき方を忘れたか?」


龍輝の脅し文句にもにやけた表情を浮かべている涼太。


涼太の手が教卓の上に置いたペンへと伸びた。


「うるさいんだよ、お前は!!」


涼太はそう怒鳴りながら握りしめたペンを振り上げた。


振り下ろした先には龍輝がいる。


教室内の空気が止まったような気がした。


それは一瞬の出来事だった。


振り上げたペンを龍輝は見逃さなかった。


ボクシングの素早さで振り下ろされたペンをかわす。


突き刺すハズの対象が失われた涼太は、そのまま龍輝の机にぶつかった。


ガンッ! と大きな音がして机と涼太が床に転がる。
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