自殺カタログ
「先生はどんな時もみんなの味方です。なにか悩んでいることや苦しんでいることがあれば、相談に来てほしい」


みんな、何言わなかった。


この先生の言葉がうわべだけだと言う事くらい、もうみんな気が付いているのだ。


先生がつらつらと薄っぺらい言葉を話している間、あたしは教卓に置かれた書類集中していた。


あれは職員室にあったのと同じものだ。


先生はもうサインをしただろうか?


この席からじゃ確認することができない。


だけど、教室へ持ってきていると言う事は、今使う可能性も高い。


あたしは唇をなめてジッと様子を伺った。


「話が長くなってしまいましたね。それでは課題を提出してください」


その言葉にあたしはハッと顔を上げた。


今がチャンスだ。


あたしはノートを取り出して教卓へ向かう。


他の生徒たちも同じようにノートを教卓の上に置いて行く。


その間、教卓の周りは生徒たちでごった返すので、先生は少し離れた場所に移動する。
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