自殺カタログ
☆☆☆

翌日、朝ご飯を食べている所に電話が鳴り始めた。


「もしもし」


お母さんの声が聞こえて来る。


あたしはテレビを見ながらお味噌汁を飲みほした。


その時だった。


「え? 本当ですか?」


お母さんの声が混乱していき、あたしは玄関へと続くドアに視線を向けた。


電話は玄関先に置いてある。


「はい。はい。わかりました」


最後には小さな声になり、電話が切れる。


あたしは食べ終えた食器を手早く洗うと、玄関に出た。


お母さんが電話の前で怯えた表情を浮かべている。


「どうしたの?」


「芽衣……」


あたしの名前を呼んだきり、黙り込んでしまった。


「なにかあったの?」


一瞬、嫌な予感が胸をよぎる。


お父さんになにかあったのだろうかと思ったのだ。


あんな父親でも、一応はあたしの父親だ。
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