自殺カタログ
理央は沢山手伝いをしてくれているけれど、実行しているのはこのあたしだ。


「後は龍輝と晃紀の2人で終わり」


理央が呟くようにそう言った。


あたしは目を見開いて理央を見る。


あたしは晃紀のサインなんてもらっていない。


それに、理央はあたしと晃紀の関係が良好である事知っているはずだ。


それなのにまだ自殺の対象として晃紀を上げている。


「あたしは先生を自殺させる」


あたしは理央の言葉を無視してそう伝えた。


「先生を?」


「そうだよ。イジメを見て見ぬふりをしていた先生が一番悪いと思わない? 理央の言葉は素直に聞くけど、他の生徒たちのことは蔑ろじゃん」


そう言うと、理央は視線を漂わせた。


先生の行動を思い出しているのかもしれない。


「先生がそんなに悪いとは思えないけど」


その言葉に更に苛立ちが加速する。


理央は先生の良い部分しか見ていないのだ。


資産家の娘のご機嫌ばかりを伺っていたから、騙されているのだ。


「理央は黙っててよ。あたしが決めるんだから」


あたしはそう言い、そっぽを向いたのだった。
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