自殺カタログ
☆☆☆

翌日。


いつも通りの朝が来た。


キッチンで朝ご飯を作っていると、女が起きて来た。


風邪はすっかりよくなったようで、今日からまた仕事に出るのだそうだ。


お父さんは昨日何時に帰って来たのかわからない。


起きると玄関には脱ぎ散らかされた革靴があった。


あたしはチラチラと女に視線を送る。


女はまるで父親のように食卓で新聞を読んでいる。


お客さんの話題つくりのためらしい。


「どうして、お父さんと結婚したの?」


3人分の目玉焼きを焼き終えたあたしは女にそう聞いた。


「なに、いきなり?」


「だって、お父さん仕事もしないしさ……」


女だって、1人で生きていた方がお金が自由になるはずだ。


結婚して家庭を持ちたかったという様子にも見えない。


「あんたのお爺さん、モデル事務所にコネがあるんだよ」


「へ……?」


「知らないの? 結構有名な事務所の会長とあんたのお爺さん、親友なんだよ」


「そうなんだ……?」


そんなことは初耳だった。
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