自殺カタログ
お爺ちゃんとは年に数回会うだけだし、会えばあたしの事ばかり聞いてくる。


「ってことは、時々モデルの仕事が入って来るのって」


「お爺さんのコネのおかげ。そうでもしないと、あたしレベルの子なんて使ってもらえないからね」


女はそう言い、卵焼きに手を付けた。


作りたての料理を食べてもらうのは久しぶりの事だった。


「モデルになりたくてお父さんと結婚したの?」


そう聞くと、女は睨み付けるような視線をあたしへ向けた。


「なに? 今更なにか言いたいことでもあるの?」


そう聞かれてあたしは慌てて左右に首を振った。
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