自殺カタログ
そして下まで落ちてしまったなら、すぐに駆け寄るだろう。


そんな当たり前の事ができない、人間として欠落した奴らだ。


あたしは痛む体を引きずるようにして階段を上りはじめた。


あたしの存在なんて見えないもののように、沢山のクラスメートたちが追い越していく。


誰もあたしに手を貸してはくれない。


時々気にするように歩調を緩める子もいるけれど、すぐ近くにイジメのリーダーがいるとわかると、そそくさと逃げて行ってしまう。


そう、今日は朝から最悪な気分だったことには間違いない。


今日こそは自殺してしまうかもしれないという予感はあった。


だけどまさか本当にここに来ることになるとは思ってもいなかった。


あたしが自殺を決めた決定的な理由は、午後からの出来事にあった。


今日の午後の授業は体育と、数学だった。


体育の授業の時はお決まりのように体操着がなくなっている。


今日もそうだった。


毎回毎回同じ事の繰り返し。


よく飽きないものだと感心してしまう。


呆れながらもあたしも毎回毎回体操着を探しているのだ。
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