自殺カタログ
あたしは極力元気な声でそう言った。


「芽衣、自分でお弁当を作っているの?」


理央が驚いたようにそう聞いて来た。


「そうだよ」


あたしは頷く。


そして気が付いた。


教室内でこんな平和な会話をしているなんて、一体いつぶりだろうか?


「すごいね。芽衣はいいお母さんになれるよ」


理央が真剣な表情でそんな事を言うものだから、思わず笑ってしまった。


あたしの笑い声を聞いたクラスメートたちが驚いた視線を向けている。


「じゃ、あたしは食堂でお昼ご飯を買ってくるから」


あたしはそう言い、教室を出たのだった。
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