自殺カタログ
そう言うと、お父さんが目を大きく見開いた。


「ほ、本当か?」


「うん、本当。一億あればこれから先遊んで暮らせるし、あたしはまだ学生だからそんなにお金もいらないし……」


全部を言い終わる前に、あたしはお父さんに抱きしめられていた。


こんなに近くにお父さんを感じるなんて、いつぶりだろうか。


「さすが俺の娘だ!」


金の目のくらんだ猛獣はそんな雄たけびをあげたのだった。
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