自殺カタログ
その事を理央も気が付いているのか、おずおずと「うち、来る?」と、聞いて来た。


「え? いいの?」


「もちろん。なんか、家すごく大変そうだし」


理央もニュースや新聞で蒔絵さんが死んだことは知っているのだろう。


そしてその女性があたしのお義母さんだったことも。


「うん。そうなんだよね」


あたしは頷く。


2人は自然と歩き始めた。


行先は理央の家だ。


「なんで急に自殺なんてしたんだろうね……」


沈黙になるのが嫌なのか、理央が呟くようにそう言った。


理央はもしかしたらもう気が付いているのかもしれない。


『自殺カタログ』を手に入れた翌日にあたしのお義母さんが自殺をしたのだから、あたしがあのカタログを使ったと気が付いてもおかしくない。


「理央の部屋に入ってから話す」


あたしがそう言うと、理央は「うん」と、頷いたのだのだった。
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