自殺カタログ
☆☆☆

2年生に上がってからクラスメートの家にお邪魔したのは初めての事だった。


1年生の頃からイジメのターゲットとされてきたあたしが、こんな風に理央の家に遊びに来るなんて思っていなかった。


理央が相手ならきっと大丈夫だ。


あの『自殺カタログ』の事を知っている唯一の存在だ。


あたしは二階に促されて理央の部屋に入った。


全体的に白い家具でまとめられていて、女の子らしく可愛らしい小物が出窓や棚の上に沢山置かれている。


「どうぞ、適当に座って」


そう言われたので、あたしは中央の丸いテーブルの前に座った。


理央はあたしの前に座る。


そしてとても真剣な表情であたしを見つめた。


『自殺カタログ』を使ったのかどうか?


顔にそんな質問が書いてある。


あたしはスッと息を吸い込んだ。


「使ったよ」


結論だけを簡潔に伝えた。


その瞬間理央の動きが止まり、その目は徐々に大きく見開かれて行った。


「本当に? あれを使ったの?」


「うん」


「サイン、してもらったの?」


「うん」


あたしは何度も頷いた。
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