自殺カタログ
今となってはそれもわからないけれど。


「そっか、そうなんだ……」


理央はブツブツと呟いて、何度も頷いた。


出来事を自分の中で納得させようとしているのかもしれない。


「これが本物なら……あいつらも殺せるね」


不意に理央があたしを見てそう言った。


『あいつら』が誰かなんて、聞かなくても理解できていた。


アンミと、その周辺の奴らだ。


理央は時々からかわれる程度だけれど、それでもあいつらの事を良くは思っていないだろう。


傍若無人にふるまうアンミに、周囲の生徒はずっと迷惑をしてきたのだ。


虎の威を借る狐のくせに、自分がクラスでナンバーワンだと思い込んでいる。


アンミなんて、龍輝という彼氏がいなければただのケバイギャルのくせに。


「ねぇ、アンミに自殺させるとしたらどれがいい?」


理央が目を輝かせてそう聞いて来た。
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