自殺カタログ
「逃げなくってもいいじゃん、芽衣」
1人が椅子から立ち上がり、あたしに近づいてくる。
あたしの名前を呼び捨てにしていいなんて言った覚えはない。
しかし彼女たちは当たり前のようにあたしの事を芽衣と呼ぶ。
そしてあたしたちは彼女たちを『さん』付けして呼ぶことを強要されていた。
最も、あたしが彼女らの名前を呼ぶことなんてないんだけれど。
「授業……始まるよ?」
あたしは震える声を絞り出してそう言った。
授業が始まればここには誰も来ない。
相手の人数は3人。
いつものメンバーだが、抑え込まれたりすれば抵抗は難しいだろう。
「大丈夫だよ、すぐに終るから」
そう言うと同時にリーダー格である寺崎アンミが動いた。
アンミはボクシング部に所属している吉永龍輝(ヨシナガ リュウキ)と付き合っていた。
龍輝は中学からボクシングをやっていたようで、プロのボクサーとしての頭角をめきめきと現していた。
筋肉質な体によく焼けた小麦色の肌。
そして整った顔立ちは絵に描いたような魅力的な男子だった。
そんな龍輝は女子生徒の憧れの的でもあり、恐れられる存在でもあった。
学校側は完全に龍輝サイドの人間なので、龍輝がボクシングで鍛えた力を悪用するたびに隠ぺいしてきたのだ。
その上龍輝の父親は警察関係者ときている。
龍輝に嫌われればこの学校にいることだってできなくなってしまうかもしれない。
みんなその事を知っているから、龍輝の彼女であるアンミにも手出しができないのだ。
アンミは完全に虎の威を借る狐なのだ。
龍輝の事が本当に好きで付き合っているのかどうかさえ、怪しい。
1人が椅子から立ち上がり、あたしに近づいてくる。
あたしの名前を呼び捨てにしていいなんて言った覚えはない。
しかし彼女たちは当たり前のようにあたしの事を芽衣と呼ぶ。
そしてあたしたちは彼女たちを『さん』付けして呼ぶことを強要されていた。
最も、あたしが彼女らの名前を呼ぶことなんてないんだけれど。
「授業……始まるよ?」
あたしは震える声を絞り出してそう言った。
授業が始まればここには誰も来ない。
相手の人数は3人。
いつものメンバーだが、抑え込まれたりすれば抵抗は難しいだろう。
「大丈夫だよ、すぐに終るから」
そう言うと同時にリーダー格である寺崎アンミが動いた。
アンミはボクシング部に所属している吉永龍輝(ヨシナガ リュウキ)と付き合っていた。
龍輝は中学からボクシングをやっていたようで、プロのボクサーとしての頭角をめきめきと現していた。
筋肉質な体によく焼けた小麦色の肌。
そして整った顔立ちは絵に描いたような魅力的な男子だった。
そんな龍輝は女子生徒の憧れの的でもあり、恐れられる存在でもあった。
学校側は完全に龍輝サイドの人間なので、龍輝がボクシングで鍛えた力を悪用するたびに隠ぺいしてきたのだ。
その上龍輝の父親は警察関係者ときている。
龍輝に嫌われればこの学校にいることだってできなくなってしまうかもしれない。
みんなその事を知っているから、龍輝の彼女であるアンミにも手出しができないのだ。
アンミは完全に虎の威を借る狐なのだ。
龍輝の事が本当に好きで付き合っているのかどうかさえ、怪しい。