自殺カタログ
☆☆☆

お母さんの作るお味噌汁。


お母さんの作る卵焼き。


お母さんの作るウインナー焼き。


そのどれもが絶品で、あたしは朝からご飯をお代わりしてしまった。


お母さんが目の間にいる。


それだけで食欲がわいて来た。


こんな時でも、お父さんはいなかった。


また外で遊んでいるのだろう。


だけど、お父さんなんていなくていい。


女の金があるから、もう二度と戻ってこないかもしれない。


それならそれでよかった。


だって、お母さんが家を出る原因がいなくなれば、また戻ってきてくれるかもしれないんだから。


あたしはお母さんに「学校から帰ってきた時もここにいてね」と、念を押すように言って家を出た。


家の外では相変わらず報道陣たちが群がっていたけれど、そんなものももう気にならなかった。
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