自殺カタログ
軽い足取りで学校へ向かう。


後方を気にしながら下駄箱で靴を履きかえて廊下を進んでいく。


今日は誰にも声をかけられない。


アンミたちはまだ登校して来ていないのかもしれない。


これなら階段でこかされることもない。


今日は幸先がいいかもしれない。


そんな事を考えていたのもつかの間、教室のドアを開けるとアンミたちのグループがこちらを向いた。


瞬間、胸に重たいものがのしかかって来る。


アンミたちの顔を見ただけであたしの胸は苦しくなるのだ。


沈みそうになる気持ちを奮い立たせて自分の席へと向かう。


先に登校してきていたのに何もしてこないと言う事は、少しは遠慮しているのかもしれない。


そう思ったのは、甘かった。


自分の席に到着してすぐにその落書きに気が付いた。


机にマジックで書かれた『人殺し』の文字にあたしの動きが止まる。


これを書いたのは間違いなくアンミたちだ。


『バカ』とか『ブス』とかではなく『人殺し』


あたしはその文字に釘付けになって動けない。
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