自殺カタログ
どうしてアンミたちがカタログの事を知っているんだろう?


どうしてあたしがあの女を殺したって知っているんだろう?


体中から嫌な汗が噴き出して来る。


アンミたちはどこまで知っているんだろう?


そう思った時だった、アンミたち3人が席を立ってこちらへ歩いてくるのが見えた。


ドクンッと心臓が跳ねる。


落ち着けあたし。


アンミたちがあのカタログの事を知っているはずがない。


この落書きは単なる嫌がらせだ。


本当に『人殺し』だと思っているはずがない。


自分にそう言い聞かせても、あたしはぎこちない動きしかできなかった。


「おっはよぉ! 人殺し!」


アンミが大きな声でそう言ってあたしの肩を叩く。


あたしはゆっくりと振り向く。


その顔がよほど恐怖で歪んでいたのだろう、アンミはあたしの顔を見た瞬間パッと手をどかして怪訝な表情を向けた。


「あんたの母親、あんたの事が嫌で自殺したんでしょ? だからあんたは人殺しってわけ」
< 65 / 311 >

この作品をシェア

pagetop