自殺カタログ
最後の月乃の言葉にピクリと体を震わせた。


あの女の事はなにを言われてもどうでもいい。


だけど、お母さんの話になると黙っていることはできない。


あたしはジロリと月乃を睨み上げた。


月乃がたじろいて後ずさりをする。


ふん。


所詮こいつらはアンミの金魚の糞だ。


一対一で負ける気はしない。


その証拠に、睨み付けるだけで月乃は黙ってしまった。


この程度の相手なんだ。


アンミが続けてなにか言おうとしたとき、理央が登校してきてあたしの机に真っ直ぐ近づいて来た。


「芽衣おはよ~。アンミたちもおはよう」


笑顔で声をかけられたアンミは言いかけた言葉を飲み込んで、軽く舌打ちをした。


馴れなれしく話しかけて来る理央を見て、あたしの席から離れていくアンミたち。


「理央のやつ、なんなの?」


そんな声が聞こえて来たので、あたしは理央を見た。


理央は気にしていない様子で「あちゃ、やられたねぇ」と、あたしの机を見て言った。


そういえば、落書きをまだ消してなかった。


油性マジックで書かれていたらなかなか消えないだろうけど。


理央が掃除道具入れから雑巾を持って来てくれた。


「ありがとう」


「いいのいいの」


理央はそう言い、チラリとあたしを見る。


今のあたしたちは無敵だよ。


そう言われている気がして、嬉しかった。
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