自殺カタログ
「お前が気絶してる間に土を口の中に入れたんだ」


あたしの背中をさすりながら晃紀が何でもない事のようにそう言った。


あたしは吐きながら身の毛がよだつのを感じる。


気絶している間に土が気道を塞いで死んでいたかもしれないのだ。


「ほら、水」


晃紀がペットボトルを差し出して来る。


あたしは恐る恐るそれを受け取った。


蓋がまだ開封されていない事を確認してから、口の中をゆすいだ。


「さすがに、今回はやり過ぎだ」


晃紀が言う。


「みんなは、どこに?」


そう言った自分の声があまりにもかすれていて、自分でも驚いた。


気絶した後も暴力が止まなかったのだろう。


「もう授業が始まってるからな」


アンミたちはしっかり授業を受けているようだ。


「なんで、授業……」


「俺か? 俺は面倒くさいからサボった」


晃紀はそう言い、またタバコを取り出した。


「タバコ、匂いがうつってるよ?」


そう言うと、晃紀は少し迷ってから煙草をポケットに戻した。


一応、あたしの事を心配してくれてここにいてくれているようだ。
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