自殺カタログ
あたしの目の前にはアンミが立っていた。


「百花サンキュー」


相変わらずのアヒル口でアンミが言う。


「オッケー、アンミ、やっちゃって」


百花が愉快そうにそう言った。


アンミの手があたしの制服のブラウスにかかった。


1つ、2つとボタンが外されていく。


「や……めて……」


情けないくらいに声が震えている。


抵抗したいのに、全身から力が抜けてちっともいう事を聞いてくれない。


アンミが怖い。


百花が怖い。


もう1人の月乃(ツキノ)も怖い。


そして何より、龍輝の存在が怖かった。


アンミ達に抵抗を見せて龍輝が直接動いてくるのが怖かった。


ボクシングをやっている人の拳は凶器になる。


命を落とす可能性だってある。


アンミたちの後ろに立っているその拳に逆らうくらいなら、このまま言いなりになっていた方がマシかもしれなかった。
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