自殺カタログ
目の前で
翌日、目を覚ましたあたしはすぐにベッドから起き上がり、転がるようにして階段を下りた。
ポストに突き刺さっている新聞を乱暴に抜き取り、ポストの中を確認する。
昨日、夜中の1時に入れたハガキはどこにもなかった。
「朝からなにしてるの?」
そんな声が聞こえてきてハッと息を飲み、振り返る。
後ろにはパジャマ姿のお母さんが立っていた。
昨日からお母さんは家にいてくれているのだ。
相変わらず遊び惚けているお父さんをみて、あたしを1人にしてはいけないと思ってくれたようだ。
「し、新聞を読みたくて」
あたしは咄嗟にそう言った。
あたしの右手にはさっきポストから引き抜いた新聞が握られていたから。
「新聞なんて、そんなに慌てなくても読めるでしょ?」
怪訝そうな表情を浮かべるお母さん。
あたしの心臓はドクドクと高鳴っている。
途端に、昨日の夕飯時に見たクイズ番組のCMを思い出していた。
今人気のタレントたちを集めた大きなクイズ大会の番組だ。
「テ、テレビ欄! 今日あたしの大好きなタレントがクイズ番組に出るんだ」
「あらそうなの? そういえば昨日CMやってたわね」
あたしはお母さんの言葉に何度も頷いた。
それから、どうしても見逃したくないから登校する前に予約録画をしておきたかったから、という嘘を重ねて、どうにか信じてもらえることができた。
あたしは昔から機械音痴だから、予約録画にも時間がかかる。
その事を知っているお母さんは、もう興味もなさそうにキッチンへと向かっていった。
その後ろ姿を見て、あたしは安堵のため息をもらしたのだった。
ポストに突き刺さっている新聞を乱暴に抜き取り、ポストの中を確認する。
昨日、夜中の1時に入れたハガキはどこにもなかった。
「朝からなにしてるの?」
そんな声が聞こえてきてハッと息を飲み、振り返る。
後ろにはパジャマ姿のお母さんが立っていた。
昨日からお母さんは家にいてくれているのだ。
相変わらず遊び惚けているお父さんをみて、あたしを1人にしてはいけないと思ってくれたようだ。
「し、新聞を読みたくて」
あたしは咄嗟にそう言った。
あたしの右手にはさっきポストから引き抜いた新聞が握られていたから。
「新聞なんて、そんなに慌てなくても読めるでしょ?」
怪訝そうな表情を浮かべるお母さん。
あたしの心臓はドクドクと高鳴っている。
途端に、昨日の夕飯時に見たクイズ番組のCMを思い出していた。
今人気のタレントたちを集めた大きなクイズ大会の番組だ。
「テ、テレビ欄! 今日あたしの大好きなタレントがクイズ番組に出るんだ」
「あらそうなの? そういえば昨日CMやってたわね」
あたしはお母さんの言葉に何度も頷いた。
それから、どうしても見逃したくないから登校する前に予約録画をしておきたかったから、という嘘を重ねて、どうにか信じてもらえることができた。
あたしは昔から機械音痴だから、予約録画にも時間がかかる。
その事を知っているお母さんは、もう興味もなさそうにキッチンへと向かっていった。
その後ろ姿を見て、あたしは安堵のため息をもらしたのだった。