自殺カタログ
キス
晃紀はクラスカースト上位の人間だ。


今はこうしてからかわれているけれど、その関係が一気に転落してしまうことはないだろう。


なにより、晃紀はアンミではなく龍輝と仲がいいのだ。


クラスで一番恐れられている存在。


龍輝はアンミが誰と仲良くしようが異に関していない。


晃紀があたしの事が好きだとしても、その反応は薄いものだ。


「芽衣と晃紀が付き合い始めれば、クラスカーストとの接点が絶大に増える事になる」


晃紀がからかわれている間、理央は冷静にそう分析していた。


「サインをもらうチャンスは増えるはずだよ」


あたしは理央の言葉に頷いた。


この場合、あたしの気持ちは関係ないということだ。


晃紀が本当にあたしの事が好きなら、付き合ってしまえばいいだけだ。


「ほら、告白しろっての!!」


アンミに無理やり立たされた晃紀は渋々あたしの前にやって来た。


だけどその頬はほのかに赤くなっている。


本当にあたしのことが好きなのかもしれない。
< 97 / 311 >

この作品をシェア

pagetop