ゆく年くる年きみのとなりで
(……まあ、年を越すとか越さないとかいう問題でもないけどね)
ただ、一緒にいたいなと思う。
こういう日にはいつも、彼の隣にいられたら嬉しいと思う。
その思いが叶う最良のかたちは何なのか、
私の中で、もう答えは出てる。
元々少なかった二人分の食器は、すぐに洗い終わってしまった。
布巾でゆっくり丁寧に拭いてから、テレビを見てくつろいでいる鷹嗣の隣にそろそろと移動する。
年明けまであと少し。
あとはそのときを待つだけだ。
「今年もカウントダウン見るかなー」
「映画は?」
「んーなんかパッとしない」
実家にいる間大晦日はずっと店の手伝いをしていた鷹嗣には、新年の迎え方に特にこだわりはないらしい。
深夜バラエティを見ながらだったり、面白い映画が放送されていればそれを見ながらだったり。寝落ちるときもあったり。
私はなんというかこう、しっかり年を越しました!! って気分になりたいから、毎年カウントダウンコンサートのチャンネルを見ている。
去年もこの部屋でカウントダウンを見て年を越した。
そのときは年越し蕎麦用に冷凍のお蕎麦を買ってきていた。でもこっちの方がおいしいからと、富士人さんのお蕎麦を二人で分け合って食べたんだっけ。
鷹嗣の実家がお蕎麦屋さんだと知ったのは、確かそのとき。
年末は店が忙しくて邪魔になるから帰らないけれど、年が明けたら帰るから蕎麦を食べに行ってみるかと誘われたのも、そのときだった。