ゆく年くる年きみのとなりで
……言ってみようかな。また連れて行ってほしいって。
頷いてくれるかな。
困った顔、されないかな。
言葉はもう喉まで出かかっているのに、いまいち勇気が出ない。
(……この意気地なしめ)
そんな自分がもどかしくて、隣に座る鷹嗣の肩にこてんと頭を落とした。
『さあ、いよいよ今年も残りわずかとなりました! 皆さんカウントダウンの準備はいいですかー!』
テレビの向こうのキラキラしたステージの上で、いよいよカウントダウンが始まろうとしている。
もうそんな時間か。
あっという間だったな。
もう、今年が終わる。
終わってしまう。
「……あのさ、まなみ」
――そんな声とともに、鷹嗣の肩に預けていた頭に重みがかかる。
彼が、私の頭の上に自分の頭を乗せてきたのだ。
「さっき言ってたじゃん、兄貴に来年も蕎麦よろしくって伝えて、って」
「……うん」
「それさ、自分で言わない?」
「……うん?」
「また一緒に行こ。俺の実家」
「……えっ!」
思わずがばりと頭を上げた拍子に、私の頭に重ねられていた彼の頭にクリティカルヒットした。
二人の口から「痛っ」と声が上がる。
「……いや?」
頭をさすりながら、不安そうに聞いてくる鷹嗣。
そんな彼の表情が可愛くて、愛おしくて、痛みなんてすぐに忘れてしまう。