いつか時が戻るまで。
「じゃあ、お母さんたち戻るね。
しばらく入院だけど、たまに来るからね」
「俺はもう来ない」
「うん」
お父さんは昔から厳しい。だから、こういう尖った言葉はもう慣れた。

お母さんたちが部屋を出た時、僕はふと、後ろにあった、名前の書いてあるプレートに目がいった。

“ 神田 涼大 ”

……誰だ?

あ。僕だ。
僕ってこんな名前だっけ?
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