雪の日
その日から、彼が劇的に変わったわけじゃない。


相変わらず自殺しようとしたし、それが治まっても、自傷行為に走った。


けれど、少しずつだけど落ち着いてきて。


雛子がいなくなって1年後、彼は社会復帰することができた。


仕事も始めて、表情に余裕ができて。


笑えるようにもなった。


でも、雛子がいなくなった寂しさは、消えることはない。


いなくなってしまった雛子のぬくもりの代わりを。


彼は、あたしに求めるようになった。

< 13 / 18 >

この作品をシェア

pagetop