雪の日
雛子の代わりとして同棲をし始めたけれど、それでもあたしは幸せだった。


ときどき、雛子に対する罪悪感に胸が重くなるけれど。


彼も寂しくないし、あたしは好きな人といられるし。


これでよかったんだと、思っていた。


けれど、やっぱりあたしじゃだめだったみたい。


同棲を始めて、最初の冬。


初雪が降った日。


次から次へと降ってくる雪を見つめながら、彼はつぶやいた。


『雛子』と。

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