雪の日
ちゃくちゃくと結婚の準備を進めていく二人のそばで、あたしは常に笑顔でいた。


そうあるように、自分を律した。


だって、そうするしかなかったから。


彼を好きだと自覚したけれど、雛子も大切。


彼が雛子を愛すれば、雛子が幸せで。


雛子が彼を愛すれば、彼が幸せになる。


あたしの大好きな二人が幸せになるんだから、あたしも幸せ。


このまま時間がたてば、あたしの気持ちも穏やかになると信じて、いつもどおりでいようと決めた矢先。




……雛子が死んだ。

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