雪の日
些細なことでけんかをしてしまった、彼と雛子。


雛子は怒ると、いつも部屋を出て行ってしまう。


しばらく公園で頭を冷やしたあと、あたしに電話をかけてくるのが常。


その頃には大分落ち着いて、どうやって彼に謝ったらいいんだろうと、毎回同じことを相談してくる。


そのあと、彼の好きなお菓子を買って帰る、というのが仲直りのパターン。


雪が降っていたあの日。


いつものように、雛子は怒った勢いで彼の部屋を出て行ってしまったらしい。


あたしにも電話があって、素直に謝ったらいいじゃない、といつもどおりのアドバイスをしたあと、電話を切った。


コンビニで彼の好きなお菓子を買って、帰ろうとしていた雛子。


信号無視をしたバイクが雛子を襲ったのは、そのときだった。


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