雪の日
雛子がいなくなって1年間。


彼は廃人も同然だった。


最初は、雛子がいなくなったことが信じられなくて。


でも、信じられなくても雛子が死んでしまったのは事実だから。


雛子が死んで1週間目に、彼はようやく泣いた。


大声を上げて、子供みたいに泣いた。


泣いたとき、ほっとしたのはあたし。


このまま、リアルに戻ってこられないんじゃないかと心配していたから。


泣けたのなら、少なくとも雛子が死んだことを理解できたってことだから。


でも、そのあとが問題だった。

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