ふたりぼっち
恐る恐る朝食を食べ終えると、男はサッと片付けてシンクで食器を洗い始めた。私はパジャマ姿のまま、ポツンと椅子に座っている。……この人は、どうして私を自分の家に誘拐したんだろう?欲求を満たすための、体目的とか? でも、普通に見ればかっこ良いし彼女なんてすぐに出来そうなのに。それとも、金銭目的?私に恨みでもあったのかな?けれど私は、この男を知らないし、見たこともない。ならば、なぜ……「おい」「な、なんでしょうか」男はシンク越しに話し掛けてきた。
「そろそろパジャマを着替えてきたらどうだ? 服は、そこのタンスの中だ」男はそう言いながら、リビングにある大きなタンスを指差す。不審に思いながらも渋々タンスを開けると、タンスの中を見てギョッとした。
< 10 / 118 >

この作品をシェア

pagetop