ふたりぼっち
act.19 過去からの脱出
ー ……あれから数日後。
ハルの記憶は消えること無く、思い出が1つ、また1つと増えてきている。
仕事が休みの午後、俺はハルに提案する。
「なぁ、ハル。南京錠を外すのを、手伝ってくれないか? 」
もう必要ないだろうと判断した南京錠を外すことにした俺は、鍵のスペアをハルに手渡そうとする。
「外してしまって、良いんですか……? 」
不安げな表情を浮かべる彼女の頭を優しく撫でた。
「あぁ。もうこんな物がなくったって、今の俺はハルをこの家に繋ぎ止めることができる、自信があるからな。」
彼女は「ふふっ」と笑い、あらゆる南京錠を外す鍵のスペアを受け取る。