ふたりぼっち

彼女がそう呟いた、その瞬間。

家の中を風が吹き抜け、飾ってあった仏壇の花が揺れ、花びらが数枚、空中に舞い踊る。

ゆっくりと地面に落下してゆく中、1枚の花びらが優しく、俺の頬を撫でて行った。


それはまるで、皺の入った温かい人間の手が、優しく撫でる様に。
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