ふたりぼっち
「……ねぇ、アキ。私ね、貴方と夏美には本当に感謝しているの」

夏美の寝息と波の音が支配する寝室で、アキは「そうかい」とだけ答えた。


「貴方が私に愛をくれて、夏美は希望をくれた。……いえ、違うわ。2人が私に未来をくれた。支えてくれた」


不安定で不完全になってしまったこんな私を支え続けてくれているのは、紛れも無い貴方達で。


「だから、ありがとう」

感謝の言葉を告げると、アキは夏美越しに私の手を取る。

「俺だって、育児や家事を頑張ってくれているハルがいるから、家の事は何も心配せずに働けている。夏美も、ハルが健康で側にいてくれるから、笑っていられる。支えられているのは何も、ハルだけじゃないよ。俺たちだってハルに支えられてる」

気付けば眠っている夏美の手が、私のパジャマを握り締めていた。

「夏美……」

そんな光景を見て、アキは朗らかに笑う。

「支え合って生きていけば良いじゃないか。”人間”なんだから」


彼の優しい言葉に、幸せな一筋の涙が、頬を伝う。

「……うん。そうだね」
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