ふたりぼっち
そんなことを考えていると部屋の扉がガチャリ、と開いた。ビクッと体が反応する。布団を口元まで上げ、胸に沸き起こる恐怖に耐えた。誰かが、この部屋に入ってくる……。扉から現れたのは……眠そうに目をこする、頭が寝癖でボサボサの男だった。「起きてたのか。もう睡眠薬が切れたんだな……」さほど私に興味がなさそうに、男はそう呟く。「あなた……誰? どうして私はこんな所にいるの? 」顔は整っているのに、顎に生えた無精髭がなんだか不衛生に見えるその男は、「そんなことより早く寝ろ」と言った。そして、私がいるベッドにのし上がり、隣に潜り込んできたのだ。「えっ! ちょっ?! 」布団をめくり上げて、慌ててベッドから飛び降りる。