ふたりぼっち

act.6.5 エピローグ

時は数年前。


ー ……古びた住宅の一室に、向かい合うようにして座る若い男女と夫婦の姿があった。


「お父さん、ハルさんとの結婚を認めて下さい、お願いします! 俺は必ず、彼女のことを幸せにしてみせます! 」

ビシッとシワ一つないスーツを着た男が、夫婦に土下座する。



夫婦の妻の方は、ポッチャリとした体型をしており、ニコニコと柔らかい笑顔を浮かべていた。


一方、お父さんと呼ばれた男性は、眉間にシワを寄せながら男を見ている。いかにも頑固親父といった雰囲気だ。

ハルと呼ばれた女性の父親らしき人物は、重苦しく口を開く。


「……高瀬くん。君は本当に、ハルを幸せにできるのか? 泣かせたりしたら、承知せんぞ? ハルはワシらにとって、大切な、大切な……一人娘なんだからな」


スーツの男は、「はい」と威勢の良い返事を返す。

「必ず。何があっても、彼女を守ることを誓います」



その言葉を聞いたハルと言う名の若い女性は、「明彦……」と泣きそうな顔をしていた。


女性の母親も、「この人なら、ハルを任せて大丈夫ね?お父さん? 」と嬉しそうな笑顔を浮かべている。


父親は深く唸った後、「分かった」と口を開いた。

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