ふたりぼっち
「ここが貴方の住む場所なら、私、出て行きますから……! 家に帰ります! すみません、いきなり失礼しました! 」酔ってて知らない誰かさんの家に、勝手に上がり込んだのかも知れない。そうだ、これはきっと酔った私が、自分の家のお隣さん宅に侵入してしまったというラブコメ的なオチなんだ、きっと!そう考え、扉に手をかけようとした……その瞬間。無精髭の謎の男に、ガシッと腕を掴まれた。「お前をここから出す訳にはいかない。ずっと一緒にいろ」「えっ、なに言って……」半笑いで男を見るが、男は笑っていなかった。怖いくらいに、私を真っ直ぐに見つめていた。「離して下さいっ! 」男の手を振りほどこうと必死に抵抗する。しかし、女である自分の力では、ビクともしない。
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