ふたりぼっち
「あなた、誰……? 」
病院に駆けつけた俺を見て、ハルはそう言い放った。
まるで初めて会う人間を見るような、そんな目をしながら……。
「ハル……? 俺だ、アキだ。俺のことが、分からないのか……? 嘘だろ? なぁ、お前の、旦那だよ……」
まるで暗闇のどん底に突き落とされたような、そんな感覚。
「ごめんなさい、分からないの……」
周りにいた友人達が経緯を説明しようとすれば、彼女は叫び、泣き喚き、狂った様に暴れ始めた。
ハルは、古い友人達の顔は覚えているが、俺のことは全く覚えていなかった。
事故より1年前後の記憶は、全て消えてしまっていた。
俺のことさえも。
医者は、事故に遭った恐怖と両親を失ったショックで心が現実を受け入れられず、記憶障害を起こしているのでしょう、と言った。
「そんな……っ……! ハルは、いつ、元に戻るんですか……? 」
縋るような思いで、医者に問い詰めるも。
「それは分かりません。明日に何かの拍子で記憶が戻るかもしれないし、一生このままかも知れません。何より今は、彼女を刺激しないことが1番重要です」
そう話すばかりだった。
病院に駆けつけた俺を見て、ハルはそう言い放った。
まるで初めて会う人間を見るような、そんな目をしながら……。
「ハル……? 俺だ、アキだ。俺のことが、分からないのか……? 嘘だろ? なぁ、お前の、旦那だよ……」
まるで暗闇のどん底に突き落とされたような、そんな感覚。
「ごめんなさい、分からないの……」
周りにいた友人達が経緯を説明しようとすれば、彼女は叫び、泣き喚き、狂った様に暴れ始めた。
ハルは、古い友人達の顔は覚えているが、俺のことは全く覚えていなかった。
事故より1年前後の記憶は、全て消えてしまっていた。
俺のことさえも。
医者は、事故に遭った恐怖と両親を失ったショックで心が現実を受け入れられず、記憶障害を起こしているのでしょう、と言った。
「そんな……っ……! ハルは、いつ、元に戻るんですか……? 」
縋るような思いで、医者に問い詰めるも。
「それは分かりません。明日に何かの拍子で記憶が戻るかもしれないし、一生このままかも知れません。何より今は、彼女を刺激しないことが1番重要です」
そう話すばかりだった。