ふたりぼっち
「ねぇ、……貴方は一体何者なの? 」
私はベッドのシーツを握り締めながら、男に尋ねる。
男はベッド横にしゃがみ込んで同じ目線に合わせてくると、私の手をそっと手に取り、優しく握り締める。
「俺が君の何なのか、それもまだ教えることは出来ない。でも、これだけは言える。俺はハルの味方だ。何があっても。俺はハルを裏切ったり、泣かせたりはしない。
……ハルだけの、味方だ」
「私の、味方……」
まだ25年間しか生きていないけど、これだけは分かる。
この男……アキが言っていることは、嘘じゃないということ。
この真っ直ぐに私を見つめる瞳は、一点の曇りもない。真実を告げている瞳だ。
「私は貴方を、信用しても良いの? 」
「あぁ」
男は深く頷く。
本当に、この男を信用しても良いのだろうか……?
私の両親を知っていると言っていた。
ならば、私の両親がこの男に私を預けたということ?
(……まだ、なにも分からない)
病室内には、沈黙が流れる。
しばらくした後、男があのさ、と口を開いた。
「……色々聞いて、少し疲れただろ。ちょっと飲み物でも買ってくる」
男はそう言うと、病室から出て行ってしまった。