ふたりぼっち
木村先生は、目尻を下げ困ったようなそんな苦笑いを浮かべる。
「えぇ。知っていますよ。しかし、それを話すのはもう少し後にしましょうかな。今日はハルさんも、色々あって疲れたでしょう」
「……」
私が納得いかないような表情を浮かべていることを見抜いた先生は、大丈夫、と口を開いた。
「いずれ時が来れば、アキくんが全て話してくれると思いますよ」
そう言えばあの男も、そんなこと言っていた気がする。
「あの、私は彼のことを信用しても良いのでしょうか……。実は彼、私を誘拐して自分の家に閉じ込めていたんです。誘拐犯なのかもしれないんです」
それを聞いた木村先生は、フム、と頷く。
「アキくんが誘拐犯、か……。可哀想に……」
「えっ? 」