ふたりぼっち
act.9 名前
結局私は、男と共にあの家に帰ることになった。
木村先生の言っていた、『あなたの心を癒すきっかけが、アキくんにあるのだからね』と言う言葉も気になったから……。
病院の駐車場に止めてあった男の車に乗り込み、家に向かう。
車の時計は、午後の6時を表示していた。
「あの、……」
助手席から流れる景色を見つめながら、私は男に尋ねる。
「あの、貴方は会社に行ったはずじゃ……? 」
そう、病室に飛び込んで来た時からずっと気になっていた。
彼の、スーツ姿が。
男は運転しながら、「あぁ、」と首を縦に動かす。
「仕事に行ってたよ。さっきまで。でも、ハルが倒れたという連絡が入って、急いで出てきたんだ」
そうだ、彼は今朝の玄関先で、7時に家に帰ると言っていた。
今はまだ、6時前……。
つまり彼は、仕事を途中で辞めて倒れた私に会いに来たのだ。
木村先生の言っていた、『あなたの心を癒すきっかけが、アキくんにあるのだからね』と言う言葉も気になったから……。
病院の駐車場に止めてあった男の車に乗り込み、家に向かう。
車の時計は、午後の6時を表示していた。
「あの、……」
助手席から流れる景色を見つめながら、私は男に尋ねる。
「あの、貴方は会社に行ったはずじゃ……? 」
そう、病室に飛び込んで来た時からずっと気になっていた。
彼の、スーツ姿が。
男は運転しながら、「あぁ、」と首を縦に動かす。
「仕事に行ってたよ。さっきまで。でも、ハルが倒れたという連絡が入って、急いで出てきたんだ」
そうだ、彼は今朝の玄関先で、7時に家に帰ると言っていた。
今はまだ、6時前……。
つまり彼は、仕事を途中で辞めて倒れた私に会いに来たのだ。