ふたりぼっち

act.10 温もり

家に着いた時には、既に7時を過ぎていた。


「晩ご飯、出前でも頼むか」

暗闇の中手探りで玄関の電気を点け、明彦さんは先に靴を脱いで家に上がる。

「あの、……私を助けて頂いた、近所の方にお礼を言いに行きたいのですが」


後ろからおずおずとそう申し出れば、彼はキッパリと断った。

「近所の人には俺が後日お礼を言いに行くから、今日はゆっくりしてろ」


「は、はい」

きっと私の体調に気を使ってくれているのだろう。


それ以上何も言い返さず、大人しく家に上がりこむ。


ペタペタと、明彦さんが向かう部屋にそのままついて行く。

彼はリビングに到着すると、そのまま床に大の字になった。


「っ、はぁ~……」

深い息を吐き目頭を押さえている様子からして、相当疲れているように見える。

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