ふたりぼっち
「あ、あまり俺をからかわないでくれ……」

彼はそう呟いて、笑った。


「怒らないんですか? 」っとおずおずとそう尋ねると、「そんなことで怒る程、俺の気は小さくない」と彼は言い放つ。


その日の晩は、お寿司を食べた。


彼はイクラが嫌いだと言って食べなかった。

また一つ、彼の……明彦さんのことを知れた。


夕食を終えた私は、明彦さんにあることを尋ねる。


それは……。


「あの、明彦さん……」

「なんだ? 」

朝食時と同様、リビングのテーブルに向かい合うように座っている私達。


直視できず、私は思わず自分の足元に視線を落とす。


「えっと、ですね。どうして、私はここにいるんでしょうか……。あと、二階の南京錠がかかっている部屋には、一体……なにがあるんですか……? 」
< 51 / 118 >

この作品をシェア

pagetop