ふたりぼっち

act.12 約束

ー ……古びた住宅の一室に私と男性、そして向かい合うようにして座っている両親の姿があった。


『お父さん、ハルさんとの結婚を認めて下さい、お願いします! 俺は必ず、彼女のことを幸せにしてみせます! 』

ビシッとシワ一つないスーツを着た男が、夫婦に土下座する。


……あれ、これは……夢……?

この、男の人は……誰……?


お母さんは、ニコニコと柔らかい笑顔を浮かべていた。


一方、お父さんは眉間にシワを寄せながら男を見ている。


いかにも頑固親父の、お父さんらしい雰囲気だ。


……そうそう、本当はこの時はお父さんも緊張してたんだっけ。


『……高瀬くん。君は本当に、ハルを幸せにできるのか……? 泣かせたりしたら、承知せんぞ? ハルはワシらにとって、大切な、大切な……一人娘なんだからな』


スーツの男は、『はい』と威勢の良い返事を返す。


『必ず。何があっても、彼女を守ることを誓います』

私の口は、確かに『明彦……』とその男の名を呼んだ。



明彦、……?

お母さんは、『この人なら、ハルを任せて大丈夫ね? お父さん? 』と嬉しそうな笑顔を浮かべている。

お父さんは深く唸った後、『分かった』と口を開いた。
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