ふたりぼっち
そんなことを考えていると部屋の扉がガチャリ、と開いた。



ビクッと体が反応する。


私は布団を口元まで上げ、胸に沸き起こる恐怖に耐えた。
誰かが、この部屋に入ってくる……!



扉から現れたのは……眠そうに目をこする、頭が寝癖でボサボサの男だった。

「起きてたのか。もう睡眠薬が切れたんだな……」

さほど私に興味がなさそうに、男はそう呟く。


「あなた……誰? どうして私は……こんな所に……あ、」


先ほど見た夢が蘇る。

この男の人、夢にでてきていた。


(確か、名前は……)

お願い、思い出して。


この人の名前を。

忘れてはいけない気がする、この人の名前を……。


彼の、名前、は…………


「……あ……き、明、彦……さ、ん……? 」
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