ふたりぼっち
「ありがとう、ハル……。名前を覚えていてくれただけでも、嬉しいよ……」




嬉しさを噛み締めながらそう伝えると、ハルは「えっと……、」と呟く。



「あの、他にも覚えています。昨日木村先生に言われたこと、今私は貴方の家に居候していること。そして、……日付の変わった今日、貴方と料理を作る約束をしていることも……」


……嘘だろ?

「ほ、本当に覚えているのか? 」

「はい」


彼女は、嬉しそうに微笑む。



「ほら、やっぱり覚えていましたよ、私。貴方の、名前。明彦さん……ですよね? 」


ハルを抱き締めたい衝動を必死に押さえながら、俺は「そうだな」と頷いた。

「……で、明彦さんは一体どうしてこの部屋に来たのですか?? 」

「え、あ、……」
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