ふたりぼっち
ー ……翌日。



俺は木村先生に経緯を説明し、今日1日は様子を見る為に仕事を休んだ。

会社の上司は俺達の事情を知っているため、快く休暇を了承してくれたのだった。

「ハル、スーパーに食材を買いに行こう」



身支度を整えた彼女の手を引き、車に乗せる。

久しぶりに見るよそ行きの彼女の姿に、心臓が高鳴る。



「あの、今日は1日中キッチンに立っているという約束では……」

付き合っていた頃の様に遠慮するハルの顔を見て、思わず顔が緩んでしまった。



「ん。料理を作ってくれるのは、晩だけで良いよ。それよりも俺は、ハルと一緒に出掛けたいんだ」


そう、買い物なんてただの口実。

本当は、……久々にデートに行きたい。


ただ、それだけだった。
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